2008/12/01
シュツットガルトバレエ「オネーギン」1
30日観てきました。
オネーギン:バランキエヴィッチ、タチアーナ:アイシュヴァルト、レンスキー:ザイツェフ、オリガ:メイソン、グレーミン公爵:レイリーの回。
いや〜〜〜っ!よかったっっす〜〜〜っ!
久々だなー、バレエ観てこんなに舞台に引き込まれたの。
感動しました。ラスト泣けたよー気持ちをぐぐっと持って行かれて。
主役陣もシュツットガルトバレエもすごかったんだけど、
なにより、‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥クランコのすごさに感動。
‥‥うーん、行って良かったなぁ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。(余韻に浸り中)
実は前回来日公演でも「オネーギン」は観ているんだよねー。
でも、その時の感想はなんだか醒めたもの。いくらルジ後遺症期間中だったとはいえ、なぜにこれほどの変化が私に起こったのか自分でもよく分からない(笑)。主役がご贔屓バランキエヴィッチだったからという理由は大きそうだけど、でも、2幕までは、正直前回観たときと同じく「とても完成度の高い名作バレエだけどドラマティックというほどでもない。誰にも感情移入できないから自分の心には今ひとつ響かないなー」という醒めた感想だったんだよね‥‥それが、3幕のオネーギンとタチアーナのパ・ド・ドゥで、なんつーか、自分の中でケミストリーが起こった。
あの3幕の2人を観ているウチに、徐々に、1幕で提示されたオネーギンの美しさと傲慢、タチアーナの幼さ、レンスキーとオリガの無垢なる美しさ、その意味、そして2幕の彼らの愚かさと悲劇、3幕最初のグレーミン公爵とタチアーナの間に漂う愛情、すべての糸がスコーンと綺麗に繋がって、ああ、だからこの2人が今ココにいて、この刹那に踊っているんだなー‥‥と、このバレエの本当の凄さにやられてしまった、という感じ。
いやあ深いよねぇ。ひさびさにノックアウトされました。
バランキエヴィッチは‥‥とても良かったと思います。
好みなんだよねぇ(笑)。なんつーか、男性にしかない特別な魅力が既に備わっている人だと思う。
黒ずくめの衣裳がスマートでまたカッコ良いんですよねー。恋愛小説にハマリ中の夢見がちな田舎娘のタチアーナはそりゃひとたまりもないだろう。素朴な田舎貴族に囲まれての知的都会人オネーギンの憂鬱と尊大、善なる気質を持ちながらも一番大事な自分の気持ちのためには他人を思いやることを平気で忘れる無自覚の傲慢さ。タチアーナが読んでいた恋愛小説の題名を見て「やれやれこれだから田舎のお嬢さんは」的な苦笑など細部も上手いです。(片眉を上げる表情が素敵すぎ)
鏡の場のパ・ド・ドゥで発されるマッチョなエロス、幼いタチアーナのひたむきさが持つ鈍感さへの苛立ち、オリガと共謀してレンスキーをからかうときの悪魔的な笑顔、そして図らずも親友を殺すことになってしまったことへの後悔と絶望。
ダンスにしても演技にしても、スターダンサーには珍しく、舞台のバランキエヴィッチからは「今自分はこれを観客に伝えたいんだ!」という突出したアーティスティックな波動は伝わってこない。
でも、彼の場合、なんていうかそういうさりげなさというか、バランス感というか、「普通」の感じ‥‥それが良いような気がします。
とても美しい手と足、優雅で正確でダイナミックなダンス、独特の大らかさと温かみ、確かな演技力。すべてが統合されて、「バランキエヴィッチのオネーギン」という人物が舞台に登場していました。満足満足。
そして、私の本日の一番、タチアーナ役のマリア・アイシュヴァルト!
1,2幕は、ああ、なるほど、タチアーナというのは確かにこういう少女だろうな、こういう女の子に目の前で物欲しげにうじうじされているのに苛つくオネーギンの気持ちも分かるな(だからって手紙を目の前でやぶるこたーないだろがッとは思うが^ ^;)。だからこそ、彼女を傷つけたのは後味悪かっただろうな‥‥。という、どちらかというとオネーギン寄りの感想だったんですが‥‥
いやー、オネーギンと同じく、3幕の、グレーミン公爵とのパ・ド・ドゥでタチアーナにヤられました。(笑) なんていう美しさなんでしょう!
優雅で繊細、女性の美徳をすべて表すような淑やかで心優しいダンス。
そしてそれは、彼女が恋い焦がれたオネーギンではなくて、グレーミン公爵との穏やかな愛と慈しみの毎日によって培われたものなのですよね。
幼い自分を深く傷つけ、妹の恋人を殺し、甘いばかりだった青春を真っ黒に塗りつぶした愚人オネーギンを、賢く成長したタチアーナはだから受け入れるはずはないだろう‥‥と、最後のパ・ド・ドゥを見始めた私ですが‥‥‥‥‥‥
うん、やっぱり、人の気持ちというのは、理屈じゃないね。
そして、かつての2人とは違い、下り坂にさしかかったオネーギンの人生の曲線と美しく成長したタチアーナの人生の曲線が偶然にも重なって、今こそ2人は「対等の関係」で向き合うことが出来たんだなぁ、人生のタイミングというのは、こういう風にずれてしまうことも仕方なくあるんだよなぁ‥‥と、見ているウチに切なくなってしまったのですよね。
今となってはオネーギンが悪いわけでもタチアーナが悪いわけでもない。
今のこの瞬間だけ、2人は完全に心を通じ合わせ、愛し合うことが出来ている。
でも、2人の人生曲線の進む方向が違う以上、後は互いにまたすれ違っていくだけ。それを知っているからこそ、賢明なタチアーナはオネーギンに完全に心を移しつつ、毅然と立ち去るように彼に命じるのでしょう。
ダンス技術、演技力、ドラマティックに「タチアーナを舞台に出現させる」力‥‥。すべてにおいてアイシュヴァルトは素晴らしかったです。
ブラーヴァー!
レンスキーのザイツェフとオリガのメイソンも素晴らしかったです。
特に1幕のパ・ド・ドゥではクランコの振付の持つダンス美を堪能。うっとりと物語世界に浸れました。
ザイツェフはしかし、すごくバレエ上手なダンサーですねー。感心。
あと、なにげにグレーミン公爵のジェイソン・レイリーが素敵でした。
長身で脚が長いので、ロシアの軍人コートの似合うこと! 老けメイクもお似合いでタチアーナへの愛情溢れるサポートも素敵すぎでした。
うん、やっぱこの人を裏切らなくて正解だったよ、タチアーナ。(笑)
うーん、やっぱ長くなってしまうなぁ‥‥
一番感動した「クランコの振付」についてと、美術、音楽(指揮と演奏、すげーよかった!)などについての感想はまた別項に。
オネーギン:バランキエヴィッチ、タチアーナ:アイシュヴァルト、レンスキー:ザイツェフ、オリガ:メイソン、グレーミン公爵:レイリーの回。
いや〜〜〜っ!よかったっっす〜〜〜っ!
久々だなー、バレエ観てこんなに舞台に引き込まれたの。
感動しました。ラスト泣けたよー気持ちをぐぐっと持って行かれて。
主役陣もシュツットガルトバレエもすごかったんだけど、
なにより、‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥クランコのすごさに感動。
‥‥うーん、行って良かったなぁ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。(余韻に浸り中)
実は前回来日公演でも「オネーギン」は観ているんだよねー。
でも、その時の感想はなんだか醒めたもの。いくらルジ後遺症期間中だったとはいえ、なぜにこれほどの変化が私に起こったのか自分でもよく分からない(笑)。主役がご贔屓バランキエヴィッチだったからという理由は大きそうだけど、でも、2幕までは、正直前回観たときと同じく「とても完成度の高い名作バレエだけどドラマティックというほどでもない。誰にも感情移入できないから自分の心には今ひとつ響かないなー」という醒めた感想だったんだよね‥‥それが、3幕のオネーギンとタチアーナのパ・ド・ドゥで、なんつーか、自分の中でケミストリーが起こった。
あの3幕の2人を観ているウチに、徐々に、1幕で提示されたオネーギンの美しさと傲慢、タチアーナの幼さ、レンスキーとオリガの無垢なる美しさ、その意味、そして2幕の彼らの愚かさと悲劇、3幕最初のグレーミン公爵とタチアーナの間に漂う愛情、すべての糸がスコーンと綺麗に繋がって、ああ、だからこの2人が今ココにいて、この刹那に踊っているんだなー‥‥と、このバレエの本当の凄さにやられてしまった、という感じ。
いやあ深いよねぇ。ひさびさにノックアウトされました。
バランキエヴィッチは‥‥とても良かったと思います。
好みなんだよねぇ(笑)。なんつーか、男性にしかない特別な魅力が既に備わっている人だと思う。
黒ずくめの衣裳がスマートでまたカッコ良いんですよねー。恋愛小説にハマリ中の夢見がちな田舎娘のタチアーナはそりゃひとたまりもないだろう。素朴な田舎貴族に囲まれての知的都会人オネーギンの憂鬱と尊大、善なる気質を持ちながらも一番大事な自分の気持ちのためには他人を思いやることを平気で忘れる無自覚の傲慢さ。タチアーナが読んでいた恋愛小説の題名を見て「やれやれこれだから田舎のお嬢さんは」的な苦笑など細部も上手いです。(片眉を上げる表情が素敵すぎ)
鏡の場のパ・ド・ドゥで発されるマッチョなエロス、幼いタチアーナのひたむきさが持つ鈍感さへの苛立ち、オリガと共謀してレンスキーをからかうときの悪魔的な笑顔、そして図らずも親友を殺すことになってしまったことへの後悔と絶望。
ダンスにしても演技にしても、スターダンサーには珍しく、舞台のバランキエヴィッチからは「今自分はこれを観客に伝えたいんだ!」という突出したアーティスティックな波動は伝わってこない。
でも、彼の場合、なんていうかそういうさりげなさというか、バランス感というか、「普通」の感じ‥‥それが良いような気がします。
とても美しい手と足、優雅で正確でダイナミックなダンス、独特の大らかさと温かみ、確かな演技力。すべてが統合されて、「バランキエヴィッチのオネーギン」という人物が舞台に登場していました。満足満足。
そして、私の本日の一番、タチアーナ役のマリア・アイシュヴァルト!
1,2幕は、ああ、なるほど、タチアーナというのは確かにこういう少女だろうな、こういう女の子に目の前で物欲しげにうじうじされているのに苛つくオネーギンの気持ちも分かるな(だからって手紙を目の前でやぶるこたーないだろがッとは思うが^ ^;)。だからこそ、彼女を傷つけたのは後味悪かっただろうな‥‥。という、どちらかというとオネーギン寄りの感想だったんですが‥‥
いやー、オネーギンと同じく、3幕の、グレーミン公爵とのパ・ド・ドゥでタチアーナにヤられました。(笑) なんていう美しさなんでしょう!
優雅で繊細、女性の美徳をすべて表すような淑やかで心優しいダンス。
そしてそれは、彼女が恋い焦がれたオネーギンではなくて、グレーミン公爵との穏やかな愛と慈しみの毎日によって培われたものなのですよね。
幼い自分を深く傷つけ、妹の恋人を殺し、甘いばかりだった青春を真っ黒に塗りつぶした愚人オネーギンを、賢く成長したタチアーナはだから受け入れるはずはないだろう‥‥と、最後のパ・ド・ドゥを見始めた私ですが‥‥‥‥‥‥
うん、やっぱり、人の気持ちというのは、理屈じゃないね。
そして、かつての2人とは違い、下り坂にさしかかったオネーギンの人生の曲線と美しく成長したタチアーナの人生の曲線が偶然にも重なって、今こそ2人は「対等の関係」で向き合うことが出来たんだなぁ、人生のタイミングというのは、こういう風にずれてしまうことも仕方なくあるんだよなぁ‥‥と、見ているウチに切なくなってしまったのですよね。
今となってはオネーギンが悪いわけでもタチアーナが悪いわけでもない。
今のこの瞬間だけ、2人は完全に心を通じ合わせ、愛し合うことが出来ている。
でも、2人の人生曲線の進む方向が違う以上、後は互いにまたすれ違っていくだけ。それを知っているからこそ、賢明なタチアーナはオネーギンに完全に心を移しつつ、毅然と立ち去るように彼に命じるのでしょう。
ダンス技術、演技力、ドラマティックに「タチアーナを舞台に出現させる」力‥‥。すべてにおいてアイシュヴァルトは素晴らしかったです。
ブラーヴァー!
レンスキーのザイツェフとオリガのメイソンも素晴らしかったです。
特に1幕のパ・ド・ドゥではクランコの振付の持つダンス美を堪能。うっとりと物語世界に浸れました。
ザイツェフはしかし、すごくバレエ上手なダンサーですねー。感心。
あと、なにげにグレーミン公爵のジェイソン・レイリーが素敵でした。
長身で脚が長いので、ロシアの軍人コートの似合うこと! 老けメイクもお似合いでタチアーナへの愛情溢れるサポートも素敵すぎでした。
うん、やっぱこの人を裏切らなくて正解だったよ、タチアーナ。(笑)
うーん、やっぱ長くなってしまうなぁ‥‥
一番感動した「クランコの振付」についてと、美術、音楽(指揮と演奏、すげーよかった!)などについての感想はまた別項に。
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